名古屋の基幹バス

  今回は名古屋市を走る基幹バスについて書きます。

基幹バスは英語で Key Route Bus と呼んでいます。(本当にそういうバスがあるかは知りませんが)都市の基幹部分を走るバスのことです。本数が地下鉄並みに多く、停留所の間隔が800m-1kmと普通の路線バスより広いのが特徴です。BRTと言えなくもないのですが、バスロケーションシステムがあるほかは、道路が広いというくらいでしょうか。

 基幹バスが生まれた背景は、名古屋市が他の都市の割りに、基幹の道路が広いこと。また市電を廃止した後、地下鉄を引いても採算が取れる見込みがない、かといって路線バスでは輸送不可能になってしまう路線がいくつかありました。 名古屋市は道路の端ではなく、中央部に専用レーンを引いて、市電のようにバスを走らせる計画を立てました。

 バスは市電(路面電車)に比べ、機動力があります。(そのぶん振動の発生や乗り心地がおちますが)短い時間間隔で増発もできます。このような背景で名古屋に基幹バスは生まれました。

 

最初に開通したのは 基幹1号系統(東郊線)でした。栄を起点に、南区へ走る鳴尾車庫、星崎などへ向かう路線です。ただし、名古屋都市高速高速道路が中央部にできていたため中央走行はあきらめ、道路端に専用レーンを引きました。

 バスの色も一般バスと見分けが付くように、茶色のラインが引かれました。

 

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以前にも書いたように大気汚染の進んだ地域を走るので、天井に圧縮天然ガスCNGガス)ボンベを積んだ天然ガスバスが主流に走っています。

 

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中には天然ガスでない普通のバスもあります。(左は一般の市バス)

 

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写真は普通のバスですが、道路端の専用車線を走ります。

 

 つぎに開業したのは基幹2号系統(出来町線)大津通-引山です。名古屋の基幹バスと言えばこちらが代表格かもしれません。 片側3車線の道路の一番右を走行します。

 

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バス停は道路中央に方向別に安全島を設置されました。

バス会社は名古屋市交通局(市バス)と名鉄バスの2社です。市バスは栄を起点として引山バスターミナルまでの区間と、名古屋駅を起点とて大津通,茶屋が坂から分岐して通常の市バスとして光が丘、猪高車庫までの区間。

 

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名鉄バスは、名鉄バスセンター(名古屋駅)を基点として栄、三軒家(均一区間の終点)、藤が丘、尾張向ヶ丘、瀬戸菱野団地へ向かいます。(運賃清算は運行会社に従うので、ドニチエコきっぷなどの交通局の乗車券は名鉄の基幹バスでは使えません)

 

市バスは普通前乗りですが、基幹2号の市バスは名鉄バスと同じ後ろ乗り前乗り(ICカードは後車時にタッチ)です。

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愛知県庁が背後に写っていますが、「市役所」停留所です。

  

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 名鉄基幹バス

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市役所の交差点です。後ろは名古屋医療センター。写真から判るように、交差点の反対側にもう1つの停留所があります。

中央走行の利点は、1つのバスレーンをほぼ高速専用として使える点にあります。 その反面普通のバスを用いたときに、方向別に停留所を設けなくてはなりません。また、右折の車線が普通の道路ではいちばん右側ですが、真ん中の車線に設けることになります。知らない自動車のドライバーは迷うことになります。2号系統ができたときは、交通事故が多く発生しました。また利用者も、交差点を横断して、停留所に向かわなくてはなりません。当然、危険度もあります。また市電と違い方向別に停留所がわかれるので、間違いが発生します。開業当所は「言うこときかんバス」「市電を復活させろ」などと散々文句を言われました。

 

日本最初のバスの中央走行。いまでも批判はありますが、今や朝ラッシュ時、1分間隔で満員のお客を乗せて基幹バスは走っています。営業も順調です。名古屋の都市交通の一翼として毎日走っています。